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辛旨トーク

僕の築地市場移転案

日本の政治のパワーバランスさえ変えてしまいそうな勢いの小池東京都知事は既に築地市場移転について結論を出されているだろうが、僕なりの私案を敢えて提案したい。基本的には腐臭の漂う利権まみれの市場移転問題は都民の税金を市場移転にかこつけて貪り吸った多くの議員やその取引先ががいたという意味で、土壌汚染よりももっと罪が深い。そして未来を語る筈の政治家にも関らず殆ど未来を展望できずに過剰投資を助長したという点で市場移転が政治主導に名前を借りた収奪システムであったという意味で、今の日本の縮図でもある。マスコミもマスコミだ。大局的な市場構造さえ論じず、百条委員会の内容を面白おかしく述べたり、土壌汚染問題を取り上げているだけで、汚職の構造追及ともっと大事な市場の将来性と事業性については全く触れる事すら出来ていない。本当にマスコミの質も落ちたものだ。木を見て森を見ずとはまさにこのことだ。その忌まわしく嘆かわしい現状はさておき築地市場の分析を始めよう。その存在価値は築地という食材情報発信基地というブランド力と食材の物流基地としての側面にある。先ず、時代の変遷とともに卸売市場の存在意義は大きく変わって来ている。基本要素は情報社会の進化、流通システムの変化、そして国際化である。食材に関する知識は今やインターネットの普及で専門業者である市場関係者よりもマニアックな素人の方が優れている事さえある。昔の様に中央市場を経由せず産直で仕入れる大手小売流通業者や飲食店チェーン、そして、こだわりの食材を追及する個人やクワンチャイの様な個人事業主が増加している。世界の優れた食材は急速冷凍やパーシャル冷蔵や窒素注入などの加工保存技術の進展やロジステイックシステムの進化で、よりたやすく新鮮な状態で我々の手元に届く様になってきている。この大きな変化の兆しからは食材流通のマーケットは中央市場に象徴される集中化ではなく分散化が趨勢であると読み取れる。もうひとつの物流基地としての豊洲市場は規模としても中途半端だし、急増している航空機貨物輸入対応を考えれば羽田は滑走路が増えたものの既に過密状態で貨物輸送の大幅な増便は不可能であり、羽田空港に近いという理由だけで、利用できる便が限られている豊洲はこの事からも物流基地の存在意義が存在し無い。成田もLCCの増加でキャパシテイ不足で不可能。あえて言えば米軍厚木か横田空軍基地の米国からの一部返還が可能であれば、新たにどちらかの空港を貨物用空港とする事が出来れば今の豊洲の5倍程度の食品物流基地を作る事が出来る。つまり国策でもある日本の食品の海外輸出の為のセンターが出来る事になる。もはや築地市場を中途半端に大型化した豊洲市場自体が時代遅れであることはこれでお判りだろう。仮に自民党のノー天気な議員たちに押し切られて聡明な筈の小池都知事が築地市場を豊洲市場に移転すると決定しても市場情勢と最初から乖離している現状から考えれば5~10年先はシャッター街になり果て赤字を今以上に垂れ流して都政にとって大きなお荷物になる事必定だ。一方、現代の築地市場自体の存在価値も食材市場マーケットの分散化により、その商い高は毎年減少傾向にある。逆にその古色蒼然たる、せり市の面白みから観光客の名物スポットとなっているのが実情だ。さて日本の食材産業に欠けているものは何だろうか? 日本料理が世界遺産として選ばれた事を契機にして政府は世界に正しい日本料理を普及させると意気込んでいるが、安倍政府が唱えているだけでそのドメインがどこにあるのかさえ定かではない。料理学校も私立の辻調理師学校や服部調理師学校や小山裕久氏主催の日本料理学校があるものの、アメリカのCIA(諜報機関としてではなく世界的に権威のあるアメリカの調理サービス専門学校)コーネル大学ホテル学科やフランスのルコルドンブルー等の世界の先端を行く権威のある調理・サービス学校が日本には存在しない。食管法も食品衛生法も全てが食育や日本文化から発展した体系的なものになっていない。正に築地移転の是非を真剣に考える機会が出来た今こそパラダイムチェンジをすべきでは無いのか? その手法としては 先ず築地を補修して再生させるのではなく、取り敢えず2~3年の間、豊洲の現施設にに仮設の築地市場として移転する。そして築地市場をソフトから再構築して食の殿堂として再開発を行い、コンテンツとして以下の5つの要素を新たに取り入れる。 ①従来の市場部分を旧態依然のセリ市場では無く、世界以上にハイテク化したオークションマケットとする ②観光名物スポットとしてのユニークなレストラン街の創設 ③日本のみならず世界から精鋭を集めた最先端の国策料理サービス業学校と研究機関 ④飲食の検査や法令を司る新しい省庁 飲食品省(農林省・厚生省・文部省・消費者庁を串刺しにしたもの)を作る。⑤築地市場の物流部分を厚木・横田の物流空港の傍に大型の流通センターとして移転する。そして新コンセプトの両施設が完成後、豊洲から築地市場関係者のニーズに合わせて新しい食の情報発信基地のとしての築地移転か或いは食の厚木・横田物流基地に移転か、或いは両方に移転かを選択決定いして頂く。豊洲撤収後は現豊洲の施設を売却するかカジノにするか公営墓地に転用して再利用するかを選択。こういう大胆な改革をする事が未来に繋がると確信するものである。(僕は昔、フランス国営のフローリスト専門学校に日本から学生を1000人程度入学させた経緯があり、その学校の理事長でありヨーロッパ花卉協会会長でもあった ムッシュ バヤール氏と知己を得、オランダにある世界をリードする花卉市場を見学させていただいた事があります。その規模の大きさ、世界の花卉情報が瞬時にわかりつつセリを行うハイテクシステム、そしてスキポール国際空港と直結した流通システムに感嘆した経緯があります。また築地市場で検番を持って居る魚商と友人で何度か見学していますが、その古色蒼然とした築地市場とオランダの花卉市場とのギャップに驚いた経緯があります。そこで豊洲市場も中途半端だと言っている訳で思い付きで述べている訳ではありません。ご質問があれば何なりとお答えします)

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