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辛旨トーク

美味しい料理 VS 美味しくない料理

先日、久しぶりにMという店でインド料理を食べました。ロンドンで美味しいインドカレー店に遭遇して4日間で計20種類のカレーを食べて以来、日本では美味しいインド料理に巡り合うことが出来ず足が遠のいていましたが、期待していなかっただけに余計に新鮮で美味しく感じました。今、日本では至る所にインド・ネパール料理店が出来ていますがネパール人家族にVISAを取らせる事を目的としている様な怪しげで衛生管理の悪い店が増加して、正統なインド料理店が減少し、結果的に日本ではインド料理=美味しくない料理 という変な先入観念が出来てしまっていて、忌のキワ(死ぬ前)に食べる食事はカレーと宣言しているカレー大好き人間の僕にとっては誠に残念です。日本では美味しいインド料理店にまで客足が遠のいている風潮のようで憂慮すべき事態です。真面目に美味しいインド料理を提供し続けている一部の優秀な店まで、この負の流れに抗しきれないで閉店の憂き目にあう事もあり、決して人ごととは思えない状況です。さて、美味しいインド料理を食べて再発見したのですが、タイ料理・インド料理・イタリア料理・日本料理 等 全ての料理で美味しく感じる秘訣は 心のこもった優秀なシェフによる料理という基本原則ですが その要素としては ①新鮮で良質な素材を使いその特徴を引き出す技量 ②料理の下処理ではいくら忙しくても手抜きしない ③ベストタイミングな火加減 ④旨味を引き出す味覚のセンス ⑤美しく清潔で適正な盛り付け にあります。僕達の世界でも、忙しい時に下処理を手抜きしていたり、火加減が適当になったり、素材の良さを生かしきれていなかったり、少し劣化した素材を誤魔化して使用する という様な タイ料理ブームに甘えた美味しくない インチキ タイ料理店やシェフを散見する(調理技術があるシェフに限ってお客様を馬鹿にして手抜きという悪魔のささやきに抗してしまう事すらあります)事があり、この様なテキトウな利益至上主義の不心得な店やプライドを失ったコックさんが増えると、今のインド料理店と同じ様な衰退が始まるのではと不安を感じています。天にツバするとはこのことで、自ら首を絞めているのに気が付かない不心得者がいるのは本当に困ったものです。すべてのタイ料理店は景気の良い今こそ身を引き締めて美味しい料理を提供するという料理店の原点を意識し順守すべきだと考えています。グレシャムの法則ではありませんが 『悪貨は良貨を駆逐する』のが世の常なので油断できません。安価な美味しくない料理が正当な価格の美味しい料理に勝利してしまうという最悪の事態です。僕達もどんなに繁盛しても愚直に手を抜かずに美味しい料理の原則を守り、適正価格でお客様に提供し続けたいと誓っています。我田引水ではありませんがタイ料理がもっと普及する為にはクワンチャイの様な料理に対する真面目さを持ったコックが作る美味しいタイ料理店が増える事を心から願うばかりです。

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