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辛旨トーク

インスタグラムは万能か?

TVではインスタ映えする映し方のレクチャーをするほど、インスタグラムの威力はSMNの中でも抜きんでている様に見えます。特に災害や可愛いペット等の投稿は変なマスコミのカメラマンの撮影よりも臨場感があり素晴らしいものだと思います。我々クワンチャイでも全てのお客さまが携帯電話で提供していたお料理やドリンクの撮影をされている事すらあり、一種独特な異次元的・近未来的な光景だと感じさせます。全く日の目を見なかったレストランの盛り付けがお客様のインスタグラムで拡散して人気レストランになったケースも後を絶ちません。しかしながら、お料理やドリンクは先ず美味しさが基本ですから、盛り付けが斬新でインスタ映えしているだけで、美味しくなければは本末転倒です。その悪しき例がインスタ映えしたローストビーフ丼や山盛りパンケーキの店の一気な凋落です。少し冷静に考えればローストビーフの鮮血がごはんに沁み込むのは気持ちが悪いですし、ハワイのエッグスアンドシングスがブームの火付け役になった山盛りパンケーキは肥満の元で健康志向の今と逆行しています。様々なモールに積極出店していたカローリー過多の2つの凋落人気横綱は商品自体が時代遅れなのに、インスタ映えという実態とかい離した虚構人気に気が付かず、経営者や金融機関までもが経営判断を誤り悪乗りしたなれの果てなのでしょう。今は無くなりましたが、京都の三条河原町にあった割烹Mは出汁と仕込みに徹底して拘り、ものすごく美味しく値段も高かったのですが、料理の見栄えは悪く接待向きではなく、逆にその事が店の売りになって居て二日酔いや西陣の旦那等の固定客で繁盛していました。やはり料理で大事なのは味と旨味と香りで、その次に見栄えでは無いでしょうか? つまりインスタグラムはフォトジェニック(写真写りの良さ)を強調する事は出来ますが、料理の基本である味覚を表現することが出来ないという致命的な欠陥を持っているという事です。一世を風靡した『料理の鉄人』でXXXXの鉄人と呼ばれたシェフの料理はTV映えして綺麗でしたが、店に行けば閑古鳥が鳴いていたことを思い出します。それはTVで有名な事にシェフが勘違いして価格は高く設定して、見栄えのわりに味が良くなかったからだと考えています。だから倒産したXXXXの鉄人氏はTVで出稼ぎして店の赤字を埋めるはめになっていた訳です。これこそ本末転倒です。さて、話が逆説的になりますが、視覚と味覚のギャップを試す為に4500円の高級懐石弁当を買って映画を見たのですが、真っ暗な空間で食べる弁当の味の無味乾燥だったこと。やはり目で楽しんで料理は食べるものだと痛感した次第です。という意味からすれば料理は北大路魯山人では無いですが盛り付けを愛でて、そのうえで料理を味わうという流れを大切にするべきなのでしょう。いや魯山人の時代は白黒テレビの時代で、カラーテレビの時代を経てインターネットの時代になったんだから、もっと3次元的にいや4次元的に料理を己が楽しみ、同時に、その幸せを自ら地球レベルで拡散する事が料理を食べる人の喜びになっているのかも知れません。クワンチャイでもお客様のSMNのおかげで知名度が一気に拡がっている現実に感謝し、料理の本質の美味しさを追求しながらも、時代の大きなウネリを受け入れて、インスタ映えする料理の盛り付けの斬新さを開発したいと考えています。但しインスタ映えで人気に火が付いたところで、所詮本質ではない陽炎だと肝に銘じて律していないと本筋を見誤り、第三の凋落人気横綱になり果てる危険があります。インスタ恐るべし。クワバラクワバラ・・・・

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