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辛旨トーク

リクルート創業者 江副浩正さんの軌跡を正確に記した『起業の天才』を読んだ

今年2月に大西康之氏著作で東洋経済新報社から発刊された『起業の天才』を読んだ。江副さんが40代、僕が30代の頃YPO(ヤングプレジデントオーガニゼーション)の共にメンバーだった関係で一緒に香港に行ったりAPPIでスキーやゴルフを共に楽しんだ思い出もあり、同時にかなり多くの登場人物に面識があり、興味を持って読み進んで3日で読了した。リクルート事件の最中には生活の基盤が永住権のあったアメリカだった為に、朝日新聞が火をつけたリクルート騒動やフォーカスのスキャンダル写真は殆ど知らないし、リクルートコスモスの上場前の株式にもお目にかかっていない。それ故か、僕は江副さんの印象は悪くない。いくつかの印象としては ①先を常に見越した天才肌 特に世界を巻き込んだクラウド コンピューターネットワーク サービスは今やアマゾンのドル箱だが20年以上前に実現寸前だった ②APPIのゲレンデもメープルカントリーのコースレイアウトも日本の他の施設を凌ぐ本物だった ③香港で満漢膳席を食した時も、料理には一過言持つ僕の意見を一生懸命聞いてくれた、他人の能力を見出す天才だった。④誰も予想できなかったバブル崩壊と集団ヒステリーの様なリクルート事件で江副さんは失脚してしまった。 日本の左派マスコミや旧守勢力そして1兆8000億円の借金をリクルートに背負わせた責任者として歴史やリクルート社史から抹殺された江副さんだが、その天才肌の先見性は今も輝いている。その一部として現リクルート経営陣が買収したINDEEDは求人募集という限られたジャンルのプラットフォームであるが世界の求人マーケットの土台になっている。莫大な借金を江副さんが発案したリクルートの基幹事業であるマッチング事業の収益から返済したのだから、その事業性と収益性は他の追随を許さない。特にリクルートの現経営陣や日本のニュービジネスの多くの経営者を生んだ事が江副さんの最大の功績かも知れない。僕も加盟していたが盛和塾で多くの中小企業経営者に社会的意義を重視しモチベーションを昂めさせた稲盛さんの人材活性化とは異質であるが、共に人材活用において天才的な手腕を発揮して来られた。京セラの稲盛さんが日本電電の分割時に江副さんを排斥せず、江副さんが企業の社会性を重視する姿勢を強めた上で日本再生のためのタッグを組んでいたら、日本の非効率な社会システムは大きく改革され日本の失われた20年も発生しなかっただろう。収益性重視で将来を予測できる江副さんなら1000兆円を超える回収の目途さえ立たない国家の借金解消の処方箋も出せるに違いなかった。江副さんの構想通りなら求人、不動産、自動車、そして行政も彼の作ったクラウド コンピューターネットワークシステムを利用していた筈だ。それも日本だけでは無く世界中の組織や企業が。江副さんの拝金主義や社会性の乏しさという負の部分に少しお灸をすえて、日本経済の指南役として彼を復活させる様な懐豊かな国民性や日本の司法だったらと悔やまれる。僕は江副さんを『人材活用と活性化の天才』と呼びたい。嗚呼

 

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