広告代理店の雄 電通 に過重労働に対する度重なる是正勧告に対応出来ていないとして一斉に強制捜査が入った。社長逮捕も視野に入っているとの事でただ事ではない。慶應でマーケテイングを学んだ僕にとっては、友人の多くが電通に就職した事もあり人ごととは思えない。またNHK元会長 島桂次氏が主催していた島メデイア研究所の主任研究員をしていた関係で電通総研によく出入りしていたので一層、今の事態を困惑を持って受け止めている。昔から電通は ハードワーク 高給取り 営業熱心 育ちのいいエリート集団 という伝統があった。それから日本の広告代理店は欧米のそれと比べて大きく生業が異なっていた。欧米は1業1社の原則で、例えばネスレの代理店を行えばサントリーの代理店にはならなかった。一方日本では昔は希少価値であった新聞枠やラジオ・テレビ枠を広告代理店が抑えていて、その枠を武器にして営業をかける事を広告代理店の主たる仕事にしていた。例えば電通ではパナソニック担当 SONY担当 TOSHIBA担当というふうに担当者が変われども1業1社の原則は無かった訳である。しかしBSやCATV、地上波等の放送の多元化、インターネットの普及による広告媒体の拡散によって、広告代理店が抑える広告枠の希少価値は大幅に減少し、併せて広告代理店の存在意義も大きく変化せざるをえなくなったわけだ。しかしながら、歴史的で急激な媒体の多元化、拡散化の中でも各広告代理店は利益を維持しなければならない訳で、勤務形態が一層歪む状態に陥ってしまったと思われる。そこで事故が起こり、強制捜査が入ることになった。今後は広告代理店は欧米並みに企画力や創造力をテコに生き延びていかざるを得ないだろうし、当然 企画の秘匿性が一層重要になるわけで 1業1社に徹する必要が発生してくる。そういう意味ではガリバー電通の存在自体が困難になってくるかも知れない。
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