レストランというサービス業はお客様とレストラン側との共同作業で、異次元の感動を作り出すものだと考えています。 先日、大阪の某繁華街で繁盛店として有名な寿司屋さんに10分ほど待たされて入りました。僕の両サイドは韓国人と中国人の観光客とおぼしきお客様。 先ずビックリしたのは両サイドから漂う香水の匂いの強さ。 僕の常識ではマトモな寿司屋さんにはネタに匂いが移るので基本的には強い香水はご法度の筈。 ですがガイドブックを持つ観光客達はお構いなし。多分、韓国や中国のガイドブックや旅行サイトに掲載されているので、一度は行こうとなったのでしょうが・・・ 写メを出てくる寿司毎に撮るものですからウルサイし食べる速度も異常に遅い。 これではいくら並んで入るくらい繁盛しても売り上げは上がらず、マトモなお客様は逃げてしまうだろうなと思いながら数貫の寿司のみ食べて退散しました。あんなお客様ばっかり、目先の売り上げを上げるために受け入れていたらあの繁盛店は早晩ダメになるだろうなと考えてしまいます。 昔、”料理の鉄人”なるヒットTV番組がありました。料理人同士が決まった時間と決まった素材を使いその出来栄えを競う番組で、数名の料理評論家が審査してチャンピオンを決めるものでした。 実はこの番組は親交のあったシェイノの井上旭さんも関っていましたが彼は料理バトルには出場しませんでした。何故なら所詮TVのシヨー番組で勝っても自分のレストランの固定客にはプラスの影響なんてないし、負ければ信用を失うだけという事でした。 現実には料理の鉄人で有名になった道場六三郎氏は倒産しましたし、料理の鉄人でチャンピオンを獲得したシェフのいるレストランは暫くは有名になって大繁盛しましたが、昔からの固定客は去り、殆どの店は料理の鉄人に出場する前よりも寂れた店に転落してしまいました。あるいは雇われシェフだったチャンピオン 鉄人 は独立してしまい、店は閉店を余儀なくされたというケースも多くあったと聞いています。井上旭さんの慧眼は正しかったわけです。つまり、店本来の望む固定客を獲得するのは大変ですが、集客を急ぎ過ぎて派手な宣伝をしても百害あって一益無しという事です。 悪いお客様 悪貨 が店に入り込むと 良い本来のお客様 良貨 は去ってしまうからです。先日、ネット予約で女性6人組が来店されました。何だか派手だなーと嫌な予感がして、他のお客様から少し離れた席に誘導させていただきました。 大声で卑猥な話を恥ずかしげもなく2時間もしているものですから、少し離れて座っているカップルも目を白黒。初老の夫婦は怖い顔をして無口に。これはインターネットだけで、顔が見えない状態でのお客様の予約を受けてしまう弊害の側面だと考えています。やはり地道にお客様と対話しクワンチャイの料理の素晴らしさを理解して頂けるお客様をふやしていく。そして何度か店を利用して頂いた後で自慢の馴染み店として団体予約して頂ける。という様な好循環で落ち着いた店になることが予約の取れない繁盛店になる唯一つの方法ではないかと考えています。悪貨が入り込みにくい店こそが真の繁盛店になる秘訣では無いでしょうか?
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