僕の考えの基本。それは『自分が食べたいものしかお客様に提供しない』という事です。いまから30年以上前の1980年に牛丼の吉野家が倒産しました。その原因は、出汁を粉末にして味が落ちたとか、急激に多店化して管理が行き届かなかったとか、様々な分析がなされましたが、僕は某経営誌に書かれていた『当時の吉野家社長が牛丼を食べる写真を撮った後に、殆ど食べずに平気で牛丼をゴミ箱に捨てていた』という記事に尽きると考えています。自社の自慢の商品を平気でゴミ箱に捨てる行為そのものが、商品を愛していない証左だと。昔、テニスのイベントを運営していた頃、近くのイトーヨーカドーグループ経営のデニーズに行ったら当時のオーナー伊藤夫妻が自分で車を運転して、よく食事に来られていました。他のお客様と全く同じ商品を、同じサービスで楽しんでおられました。一方、当時飛ぶ鳥を落とす勢いだったダイエーの中内社長がドムドムやビッグボーイに食事に行かれたという話は聞いたことがありません。多分ヘッドハントした有名シェフに家で食事を作らせていたのだと思います。その後のイトーヨーカドーグループ 今のセブンアイホールデイングスとダイエーを比べれば経営者の姿勢がどれ程、大切かが判ろうというものです。ですから僕はクワンチャイで提供する料理も素材も僕自身が安心して食べられる物以外は使用していません。某大手回転寿司チェーンでは次亜塩素酸ソーダ(防腐剤)に漬けた魚しか納品出来ないと聞きます。次亜塩素酸ソーダの過剰摂取は発癌のリスクがあると言われています。これでは健康重視で寿司を食べに来ているお客様を裏切っている事になります。僕はお弁当の受託をしていますが、多少風味が落ちても十分に加熱して発癌性のある化学由来の防腐剤は絶対に使用しない様に心がけています。しかし現実には、ほとんどの弁当屋さんは長時間屋外に放置される可能性のある弁当で食中毒を起こすリスクを恐れて不健康な防腐剤を弁当に吹き付けていると聞きます。大手安売り飲食チェーンが多用している成長促進剤を食べた可能性のある鶏なんかを使用する事なぞもってのほかです。また僕が老いぼれたり病気になって、タイ料理を食べることが出来ない状況になったら潔く身を引く覚悟です。 自分の良心に従う。これがサービス業の原点だと考えています。
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