本屋大賞を取った小説『海賊と呼ばれた男』を読んで、今までは押しつけがましいセールスが苦手だった出光石油のファンになった僕ですが、今度は映画化されたという事で早速、映画館に行った。 結論から言えば、小説を読んでから行ったお客様は映画を楽しむことが出来ただろうが、大ヒット上映中 という宣伝に乗せられて映画館に足を向けた殆どの、お客様は内容が判らずに帰ったに違いない。 基本的に小説はマニアックな人が読み、映画はマス相手だから出光石油創業者の出光佐三翁の事も知らず特撮技術の宣伝だけに乗せられて観に行っても何が何だか判らない筈で致し方ない。映画に対する僕の見方はこうだ。 この映画は興行としては失敗であろう。先ず、今、出光石油は大株主である創業家グループと現経営陣が、外資との合併について対立している。出光佐三翁が生きていたら外資との提携なんて絶対に認めないだろう。この考えは創業家グループと一致する。一方、佐三翁の先妻との離婚の経緯は美化されているが、創業家グループ、つまり後添えから生まれた子孫たちは全く登場しない。多分、映画製作に対する了解は出光現経営陣からも創業家グループからも取っただろうが、資金的バックアップを受けることが出来ず、映画製作費用も当初の予定の半額程度に抑えざるを得なかったのではないかと思われる。
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