Toggle

辛旨トーク

タイの食材と日本の食材の比較

タイは自然に恵まれていますので日本と比べて野菜や果実の栽培技術や品種改良は左程、進んでいません。ですから苺を例にとれば、日本では『とちおとめ』『さがほのか』等々、数十種類の甘くて大粒の高級苺が販売されていますが、タイでは昔ながらの小粒で酸っぱい苺にしかお目にかかれません。最近ではタイの高級スーパーで日本産の高級苺が5000円程度で販売されていて富裕層には人気ですが一般庶民には高根の花です。タイ料理店に欠かせない空芯菜は茎の細いものから茎の太いものまで大きく分けて5種類ぐらい、あらゆる食品スーパーで販売されており、価格も日本で販売されている価格の5分の一~10分の一程度です。因みに日本では夏季は空芯菜の値段は一束200円前後ですが冬季には欠品が多く価格も400円~500円に跳ね上がり、僕達は仕入れに苦労しています。次に肉類ですがタイでは肉類の9割は鶏肉で、その他に豚肉、牛肉、アヒル肉が扱われています。鶏肉は日本の様に立派な養鶏場が多数あるわけではなく野飼いの鶏が多く味は良いのですが、全体的に小ぶりで筋が多く固く、日本の様に多くの種類の美味の鶏があるわけではありません。豚肉は日本の養豚場の豚より総じて固い気がします。牛肉はオーストラリア産の牛肉がそれなりに入って来て、日本流のしゃぶしゃぶ屋さんやすき焼き屋さんで食することがありますが、所謂サシの入った柔らかい牛肉には余りお目にかかれません。一度、タイの有名ホテルの日本食レストランでKOBEBEEFの鉄板焼きを食べましたが200g程度で25000円以上も取られてびっくりしました。やはり本来の和牛は庶民には高値の花です。ですから肉料理に関してはタイ人コックさんは美味しい鶏肉の事を余り知らないので、一般的には安価なブラジル産の冷凍鶏肉をタイ料理に利用しているのではないでしょうか。さてクワンチャイでは基本的に国産の高級鶏を使用しています。何故なら本国のタイ料理で使用している鶏は身は痩せていますがブロイラーではなく野飼いで旨味は優れているのに一般的な輸入鶏は大きいだけで旨味が無いからです。タイ料理の技法を生かし、なおかつタイより美味しく鶏料理を提供するには、タイの鶏より美味しく、身も肥えている高級鶏しか選択肢は無いと考えています。なのにどうして日本で働いている一般的なタイ人コックは輸入のブロイラーを多用するのでしょうか? 先ず価格が高級日本鶏の5分の一程度である事。そしてタイのハーブや調味料を多用しているので鶏本来の旨味を出す必要が無いと考えているのでしょう。しかし繊細な味覚を持ち、薄味の好きな日本人にはこんな誤魔化しは通用しません。この調理技法の差がクワンチャイと他のタイ料理店との美味しさの差となって表れてきます。牛肉については元々、タイ人コックは美味しい牛肉を食べたことがないので、日本で提供する牛肉入りタイ料理は安物の牛肉を使っても悪いと思っていないのではないでしょうか。クワンチャイでは敢えてコストが5倍以上する高級牛肉を使用しています。何故なら日本のお客様は牛肉の味についても鋭い嗅覚をお持ちだからです。ですからアラカルトで1600円頂いている牛肉入りタイ料理に吉野家で使用している様な安物の牛肉を使っていたら不味く感じるのは当たり前です。クワンチャイの牛肉入りタイ料理が美味しいのは販売価格にマッチしている高級牛肉を当然ながら使用しているからに他ありません。

その他の辛旨トーク

Return Top