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辛旨トーク

マスターオブワイン協会について

日本ではまだまだ知名度が低いですが、世界のワインマーケットを実質的にリードしているのが英国に本部を置くマスターオブワイン協会です。僕がアメリカ在住だった約20年前に日本人として初めてサポーターとなり(アメリカではロバートモンダビ、オーストラリアではローズマウントエステート)日本でのワインマーケットの健全な発展の任を受けて配下に3名のマスターオブワイン(世界で認定されているマスターオブワインは300名程度で日本人はゼロ)を置き、マスターオブワイン協会主催の教育機関ワインアンドスピリッツエデユケーショントラスト(WSET)の教室を東京と大阪で開催し優秀な生徒にはサーテイフィケート・ハイヤーサーテイフィケートを合計1000名程度発行させていただきました。当時イギリスでジャンシスロビンソン女史やオズクラーク氏、そしてヒュージョンソン氏との知遇を得たことは今でも僕の財産です。今はJALがこの教室を引き継ぎ運営しています。現在はタイ料理クワンチャイという余りワインと縁が深くないレストランチェーンを経営しているので、当時学んだ知識と10000種類以上のワインテーステイング経験は生かせていませんが、レストランを経営していて日本のワインマーケット事情について少し感じる事を述べたいと思います。お酒のデイスカウントストアー大手『やまや』などの多店化を受けて一般庶民にとってワインが身近になって来た事は本当に喜ばしく思います。また知人の玉村豊男さんのヴィラデストガーデンファームのワインの様に高品質の日本ワインが多数生まれて来た事も喜ばしい限りです。しかし日本でのワインに対する法整備は残念ながら発展途上国並みです。何故ならヨーロッパやアメリカで厳しく規制されているワインの製造工程表示やブドウ品種表示についての法規制やレギユレーションが殆ど定められていないからです。例えば悪質な輸入業者がフランス産のワイン原液を5%、中国産のブドウ液を90%、エチルアルコールを5%混ぜて日本でフランスワインとして販売してもチェックする術がなく、酒税さえ払えば法律で罰せられる事も今のところない事です。また本来リーファーコンテナー(エアコン付きコンテナー)で輸入しないと劣化が進むピノノワール種のワインを安価で輸入するために法定基準を超えた防腐剤・亜硝酸塩を大量投入しているワインも市場で流通しています。この法律のスキをぬって大手アルコールメーカーが怪しげなワインを販売しているのも残念ながら日本の実情です。真の意味で日本の消費者が美味しく良いワインを適正価格で楽しめる様になる為には、速やかに欧米ワイン先進国並みのワインについての管理と法整備を日本政府が行うべきだと考えています。

 

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