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辛旨トーク

『ありがとう』 その一言がほしかった

全ての人間関係において言える事ですが、相手の立場に立って感謝の心を持って接するかどうかで、その後の展開が大きく変わって来ると考えています。口先だけの『ありがとう』ではなく、相手の苦労と労働に対する感謝の心をもった『ありがとう』がどれほど大切か。お取引先とでも、お客様とでも、買ってやっているから、わざわざ店に来てやっているから、という気持ちが前面に出てきている人に接していると心が折れてしまいます。昔、一緒にビジネスを始めようとしていた人と、僕が馴染みにしていたあるレストランで食事をする約束をしていました。その人の上司を僕に紹介してくれるという約束で3名で予約していました。勿論、僕が予約していたレストランのオーナーシェフは僕が大事なお客様を連れていくと伝えていたので特別料理を準備してくれていました。しかし当日の夕方に友人から電話。『長谷川ちゃん、上司が都合がつかなくなったゴメン』『日を改めて』との事。僕が、友人のシェフが準備してくれているので困るんだけど、と言ったら。『あ そう』でおしまい。僕はそれ以来その人とは仕事の話をする事を止めました。理由は2つ。①上司の都合がつかない事があるのは止むおえないけれど、連絡が遅すぎる。②僕がじっくり段取りした事に対する労りの気持ちが無い。です。 この様な人と仕事をすると、最終的に打算だけでビジネスを判断され、将来を見据えた継続的な取引は出来ないと考えたからです。残念ながら、この手の心の無い輩が最近増えている気がします。権威を傘に着たり、地位を傘に着たり。そんな人間的に魅力の無い人に限って自分を客観的に見ることが出来ず、その人の魅力に対してでは無く、お金や組織に対してのみ僕が対応しているのに気がつかないでいるのです。人間関係を維持するのは、見えないところで色々な努力が必要ですが、その維持する努力(料理で言う下ごしらえ)を想像する事が出来ない困った人がいます。だから感謝の心を持て無いんだと思います。インターネットが普及している今、簡単に店の予約をネットでして簡単にネットでキャンセルする。簡単に予約ができる事を売り物にするネット予約の会社が多数跋扈している。その営業マンは料理の事もサービス業の事も殆ど知らないのに押しつけ営業をして来る。この様な本質から乖離した変なサービスが増えれば増える程、料理の下ごしらえをする努力が虚しくなります。無機的なインターネット万能の時代だからこそ、心からの『ありがとう』その一言を言える人間関係の上に築かれたビジネスやお客様との関係こそが長続き出来る秘訣だと考えています。

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